SSブログ

千葉県総合教育センターで観望会 [巡検・露頭]

3月17日,千葉県総合教育センターで観望会がありました。昨年,センター屋上に設置されている望遠鏡が整備され,ようやく使えるようになりました。おそらく数十年ぶりの観望会です。

DSCN1630.jpg
望遠鏡は五藤光学の15cm屈折望遠鏡です。40年ほど前には,多くの学校に納入されていたそうです。

DSCN1625_補正.jpg
支柱と赤道儀の継ぎ目に,「GOTO KOGAKU TOKYO 1961」のプレートがあります。昭和36年に,千葉市葛城町に千葉県理科教育センターが開設したときに購入されたものでしょう。昭和59年に,現在の幕張に千葉県総合教育センターがつくられたときに移設されました。

DSCN1628.jpg
DSCN1629.jpg
メカニカルな作りが,何ともいえません。

DSCN1632.jpg
赤道儀はモータードライブでなく,重力式です。錘が落ちる力で動きます。錘が落ちる穴にはコンセントがついており,いずれはモータードライブにかえる予定だったのでしょうか。

DSCN1621_補正.jpg
ハンドルで錘を巻き上げます。錘が落下すると,箱の上にあるガバナーという装置(丸い振り子の様なもの)が回転し,速度を調整します。アナログな仕掛けですが,しっかり追尾していました。

DSCN2178.jpg
アイピースを取り付け,数十年ぶり(?)に星の光がレンズを通ります。私が教員になって20年が過ぎましたが,この望遠鏡が動くところを初めて見ます。

DSCN2189.jpg
総合教育センターのすぐ脇には東関東自動車道・湾岸道路がとおり,その向こう側には幕張のビル街が広がります。条件の良い環境ではありません。

DSCN2181.jpg
それでも,惑星などの明るい星はよく見えます。観測ドーム正面に見えるのは避雷針です。避雷針先端のやや右上に,火星が見えます。

DSCN2182_補正.jpg
アイピースにコンパクトデジカメのレンズを押し当てて撮影してみました。火星です。肉眼では,もっとシャープに見えます。

DSCN2193_補正.jpg
次は土星です。輪も,しっかりと見えます。

DSCN2186_補正.jpgDSCN2187_補正.jpg
本格的に天体観測をしている人には物足りないかもしれませんが,初心者の研修に使うには充分です。車・電車でのアクセスも容易なので,夜でも安心して観望会を行うことができます。この様な機会がもっと増えると良いですね。
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

稲森標本について [稲森標本(国産)]

埼玉県草加市に渡辺教具製作所が設立した「ミニ博物館 地球&宇宙」では、東京学芸大学名誉教授の稲森潤先生が収集された岩石・鉱物標本を展示しています。その一部を紹介します。

鉱物のマクロ写真について [鉱物のマクロ写真]

大きく整った形の結晶で、不純物(インクルージョン)を含まないきれいな鉱物標本は魅力的です。しかし、小さな鉱物もマクロ写真で見ると、なかなかいい表情を見せてくれます。結晶内のインクルージョンや不均一な形も、大地がつくられてきた過程を示しています。
画像は,オリンパスOM-4Ti+38mmマクロレンズ+オートエクステンションチューブで撮影したポジフィルムをスキャンしたものです。画像の長辺は3〜5mmです。
マクロ写真ならではの、結晶の中から微かにもれる光や模様を楽しんでください。

So-net Photo からの移行

So-net Photo のサービス停止に伴い,画像をブログに移行しました。ハワイやオーストラリアの画像は,今までブログに載せていなかったものもたくさんあります。鉱物の画像は,So-net Photo からホームページへ貼付けていましたが,ブログで公開することにしました。いくつかの画像が重複していますが,そのうち整理します。So-net Photo にアップした日付でブログの記事が並んでいるため,前の方の記事になっています。左のカテゴリーから選んで,ご覧下さい。

カルデラ湖 [巡検・露頭]

カルデラ内に水が溜まってできたのが,カルデラ湖です。日本にはいくつものカルデラ湖があります。北海道へ向かう飛行機に乗ると,天気の良い日には十和田湖や支笏湖を窓から眺めることができます。

02towadako.jpg
直径約10㎞のカルデラ湖を形成した噴火は,約3万年前と1万3000年前に起こりました。このときの噴出物は,それぞれ大不動テフラ,八戸テフラと呼ばれています。八戸テフラは,陸奥湾の一番奥にある野辺地の早期縄文遺跡を覆っており,当時の縄文人が噴火によって被災したことがわかります。南東の岸から伸びた2つの半島に囲まれた中海は,カルデラ形成後の噴火により生じた火口で,十和田湖は二重カルデラとなっています。

01shikotuko.jpg
支笏湖カルデラは,約4万年前の噴火によってつくられました。その後も,カルデラの周囲にある風不死岳,恵庭岳,樽前山が噴火を繰り返しています。雪でおおわれているのが樽前山で,火口中央には溶岩ドームが見えます。昨年の10月には,1739年の樽前山の噴火で発生した火砕流によって焼かれた炭化木が,山麓で見つかりました。支笏湖は,田沢湖に次いで日本で2番目に深い湖です。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

白河火砕流3 [巡検・露頭]

「塔のへつり」付近には,100万〜50万年前の火山活動を示す地形や岩石があります。

12nishigou_pf_1.jpg
福島県下郷村の阿賀川河床には,カルデラ内に堆積した西郷火砕流が見られます。

13nishigou_pf_2.jpg
西郷火砕流は石英や普通角閃石を含み,芦野火砕流堆積物とは明らかに違います。黒曜石のレンズも見られません。岸に積もった砂の表面を見ると,陽の光を反射して光っている粒がたくさんあります。火砕流堆積に含まれている高温型石英です。

14nakayamafuketu.jpg
塔のへつりの北側には,中山風穴地があります。中山はカルデラ内にできた溶岩ドームで,細かい柱状節理からできています。節理の隙間からは常に冷たい風が吹き出しているため,寒冷地に生えるような植物群が自生しています。写真は柱状節理のブロックを組み上げてつくった貯蔵庫で,中央の穴から冷たい風が吹いてきます。

15nakayamaiwakuzure.jpg
樹木におおわれていますが,その形から溶岩ドームであることがわかります。地下から絞り出された溶岩が,そのまま固まってできました。よく見ると,中央部が地滑りを起こして崩れています。

16nagareyama.jpg
崩れた山の一部は,ところどころに小高い丘をつくりました。流れ山です。

17seturi.jpg
流れ山は,山から崩れ落ちた,柱状節理のたくさん入った溶岩でした。割れ目がたくさんあるため,崩れやすくなっているのでしょう。崩れた岩の隙間から冷たい風が吹き出している場所がいくつかあり,寒冷地植物の自生地となっています。

18yougandomu_1.jpg
中山風穴地の周りには,いくつもの溶岩ドームが見られます。大火砕流を引き起こす噴火の結果,この辺りは陥没してカルデラを形成しました。カルデラ形成後の火成活動で,地下から絞り出されてきた珪長質のマグマがこれらの溶岩ドームをつくりました。

19yougandomu_2.jpg
この辺りの重力を詳しく調べると,まわりよりも小さくなっています。このことは,地下に密度の小さい物質があることを示しています。このことから,ここがカルデラ内であると推察されています。カルデラが形成されたのは何十万年も前のことなので,侵食や植生によって壊されてその形は残っていません。

白河火砕流2 [巡検・露頭]

白河火砕流を発生させた大噴火は,どこで起こったのでしょう。100万年も昔のことなので,地形から当時の火山の様子を伺うことは出来ませんが,会津若松の南の「塔のへつり」付近がそれではないかと考えられています。

07tounoheturi_1.jpg
「塔のへつり」は,この一帯をつくる凝灰岩・凝灰角礫岩・泥岩が大川によって侵食されてできた侵食地形で,天然記念物に指定されています。地層の硬さによって浸食の度合いが異なるため,奇妙な形の石がつくられています。これらの岩には,烏帽子岩,鷲塔岩,獅子岩などの名前がついています。

08tounoheturi_2.jpg
紅葉がきれいなところです。

09tounoheturi_3.jpg
凝灰岩質の角レキを含む層と粘土の層が,交互に積み重なっています。大規模な火砕流が発生する噴火では,火口付近が陥没してカルデラができることがあります。かつてこの辺りには,白河火砕流後に形成されたカルデラが存在したと考えられます。

10tounoheturi_4.jpg
カルデラに水が溜まるとカルデラ湖になります。「塔のへつり」の地層は,カルデラの内壁が崩れ落ちて湖底に堆積してできたものです。

11tounoheturi_5.jpg
角レキを多く含むところは侵食に強く,ひさしのように取り残されています。もろい部分だけが侵食されて,凹んできます。昔は,この凹んだ所を人が通っていました。鉄の枠は昔の通路の跡で,今は使われていません。

白河火砕流1 [巡検・露頭]

昨秋,千葉県立中央博物館で企画された白河火砕流堆積物の見学会に参加しました。白河火砕流堆積物は,福島県南部から栃木県北部にかけて広く分布しており,150万年前~50万年前の噴火によってつくられました。「隈戸」「芦野」「西郷」「天栄」「鎌房山」の5つの火砕流堆積物(4つに分ける説もあります)から構成されています。

01ishinobijyutukan.jpg
芦野火砕流が溶結してできた岩石は,産地によって芦野石・白河石などと呼ばれ,石材として使われています。栃木県那須町芦野には,芦野石を使った石の美術館があります。

02saisekiba.jpg
栃木県那須町寄居の芦野石採石場です。火砕流は,高温の溶岩・火山灰・火山ガスが火口から流れ下る現象です。芦野火砕流は堆積した後も高温を保っていたため,堆積物が再び溶けて固まりました。このようにしてできた岩石を,溶結凝灰岩と呼びます。

03shirakawaishi.jpg
芦野石・白河石は斜方輝石・単斜輝石が多く,普通角閃石や石英をあまり含みません。溶けた部分が再び固まって黒曜石になり,黒くレンズ状になっているのが見かけの特徴です。

04hiyouketu.jpg
芦野火砕流の下部は未固結で,直径10cm程の石が混ざっています。

05rotou.jpg
福島県西郷村の石切り場にある芦野火砕流の露頭で,高さは20m以上もあります。これだけの大火砕流に襲われ,この辺りは一瞬にして焼き尽くされてしまったことでしょう。露頭に見える縦の割れ目を柱状節理と呼び,溶結した火砕流堆積物が冷却し,体積が収縮してできたものです。

06hotel.jpg
ホテルの玄関に,白河石(?)が使われていました。

サイエンスカフェ他 [「ちきゅう」乗船スクール2010]

01安全講習_DSCN2066補正.jpg
「ちきゅう」の乗船手続きは,ホテルのチェックインのようです。用紙に名前を書いて,個室の鍵を受け取りました。乗船後,はじめに安全講習を受けます。乗船スクール担当である,IODP推進・科学支援室の吉澤さんから,緊急時の対応や船内ルールについて説明を受けます。研究者も含め「ちきゅう」に乗る人は全員,この講習を受けなければなりません。

02サイエンスカフェ_DSCN2101補正.jpg
1日目の夜は,サイエンスカフェが開かれました。恩田船長,倉本IODP推進・科学支援室次長,小林運用管理室室長の学生時代のお話や爆笑(?)Q&Aで大いに盛り上がりました。三人とも,高校時代に進路選択で迷ったこと,紆余曲折を経て「ちきゅう」に到ったことなど,これから進路を考える高校生にも聞かせたいお話でした。

03サイエンスカフェ_DSCN2098補正.jpg
小林さんからは,掘削技術に関する講義もありました。基本的には石油掘削技術の応用とのことですが,「ちきゅう」が目標とするマントルまで掘り進むには,まだまだ新しい技術開発が必要とのことです。サイエンスカフェでは,船長をはじめとした乗組員,掘削技術者そして研究者が,三人四脚で科学の最先端に取り組んでいる姿が垣間見えました。

02朝日_DSCN2115.jpg
「ちきゅう」ヘリデッキから見た朝日。

03富士山_DSCN2118補正.jpg
朝もやのむこうに,富士山が見えます。宝永火口がよく見えました。

04記念写真1_DSCN2119.jpg
現在の「ちきゅう」は,水深2,500mの海底までライザーパイプをおろし,海底から7,500mの深さまで掘削する能力があります。パイプの総延長は100,000mになります。マントルに達するには,水深4,000mを超える深い海底から7,000m以上掘り進めなければなりません。そのために,ライザーパイプへの強潮流対策や,新しいドリルパイプの開発が進められています。
いつかマントルに達したとき,どんなことがわかるのか楽しみですね。

「ちきゅう」の生活 [「ちきゅう」乗船スクール2010]

航海や掘削作業は長期間に及びます。その間,乗組員が生活する居住区を紹介します。

船内生活01_DSCN2110.jpg
船内にほとんど窓はありません。廊下は想像していたより広々としていました。

船内生活02_DSCN2071補正.jpg
乗組員が集まるレクリエーション室には,四畳半の茶室があります。「ちきゅう」には様々な国の人が乗っており,仕事の合間に日本の文化を体験できて好評だそうです。

船内生活03_DSCN2076.jpg
狭い船内では,運動不足になりがちなため,ジムが設置されています。その他にも,ジャグジーやサウナもあります。

船内生活04_DSCN2070補正.jpg
船内病院です。ちょうど,学校の保健室の様な作りです。今まで,大きなけがや病気はなかったとのことです。

船内生活05_06.jpg
居室には,机・ベッド・シャワー・トイレがあります。乗船スクールの参加者も,一人一室が割り当てられました。

船内生活07_08.jpg
居室に装備されている,ライフジャケットと小型の酸素ボンベ。酸素ボンベは,黄色い袋を頭からかぶって使います。

船内生活09_DSCN2086補正.jpg
船内は禁酒です。上陸時は飲むことができますが,飲み過ぎないように注意します。船内には,その他にも様々な掲示があります。船内の公用語は英語なので,英語と日本語で表記してあります。

船内生活11_DSCN2085補正.jpg
船の生活で一番の楽しみは,食事でしょう。食堂はバイキング形式です。サラダ・肉・魚・温野菜などが並びます。肉は宗教上の事情に配慮して,豚・牛・鶏が選べます。

船内生活12_DSCN2084補正.jpg
1日目の昼食が,「ちきゅう」での最初の食事でした。船は24時間,稼働しているので,食事は1日に4回あります。朝用・夜用といったメニューはないので,自分でコントロールしなければなりません。

船内生活13_DSCN2097補正.jpg
食堂の片隅には,なぜか体重計が。壁には,肥満度を調べるグラフまで貼ってあります。

船内生活14_DSCN2123.jpg
「ちきゅう」では,週に1回,避難訓練があります。接岸中は,船を降りて岸壁に集合します。消火器の種類と使い方の説明がありました。

船内生活16_DSCN2134補正.jpg
2日目の昼食。この日は,“Hot Noodle Udon”がでました。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。