千葉県の露頭〜木下公園(下総層群木下層) [巡検・露頭]
元千葉県立印旛高校の入口に木下層の露頭があり,国の天然記念物に指定されています。この露頭から関東の地層研究が始まった,記念碑的な露頭です。
木下層は約12万〜13万年前に堆積した地層で,厚い貝化石層を含むのが特徴です。この露頭では,貝化石層の厚さは8mにもなります。土砂が崩れてだいぶ埋まってしまいましたが,貝化石が密集している層がよく見えます。
貝化石の多くは二枚貝で,よく見ると殻の内側を下にして(お椀をふせた様に)積もっています。これは,貝が死んだ後,水流に流されて積もった事を示しています。厚い貝化石密集層は波や潮流,洪水で流量が増えたときに貝殻が流され,寄せ集められてつくられました。
遊歩道の脇に,貝化石が密集した塊が置いてあります。貝殻から地下水に溶け出した炭酸カルシウムが接着剤となり,貝化石や砂粒を結びつけると,この様な塊をつくることがあります。昔はこのような塊を使って,石灯籠などをつくっていました。
元印旛高校があった台地は,一部が公園として整備されています。入口と反対側の台地の斜面にも,貝化石層が露出しています。
当時の関東平野には,「古東京湾」と呼ばれる広い内湾が広がっていました。木下層は,古東京湾に形成された三角州の堆積物と考えられています。三角州というと,河口に土砂が堆積してできた平らな土地をイメージしますが,その先端は海底まで緩い斜面が続いており,厚い堆積物によってつくられています。
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