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千葉県の露頭〜印西市吉高(下総層群木下層) [巡検・露頭]

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元印旛高校の南西8Kmほどの印西市吉高付近にも,木下層の貝化石層が見られます。夏に撮った写真なので,かなり草が茂っています。露頭調査は,春か秋がベストです。冬は草も枯れて観察しやすいのですが,日の短さがネックになります。

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ここでは貝層の厚さは1.5〜2m程度ですが,崩落が激しいため下の部分がだいぶ埋まってしまいました。下は,3年前に撮影したほぼ同じ場所の画像です。
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貝化石層は炭酸カルシウムによって固められているため,砂の層より突き出しています。自然による崩落もありますが,ツルハシ等の機材を使って大量に貝化石層を崩し,持ち去った様な後も見られます。学術研究・教育資源としても貴重な露頭なので,必要以上の化石の採取は慎んでいただきたいと思います。

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二枚貝は離弁(殻が分かれている)ですが,よく見ると貝化石層の下部には合弁(殻が合わさっている)のものが見られます。これはナミガイの化石で,やや深い海底に縦に潜って,水管を水中にのばしていました。この地で生息していて,そのまま化石になったもので,この様な化石を現地性と呼びます。また,離弁の二枚貝の様に流されてきて堆積した化石は,異地性と呼びます。

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貝化石層の下は,細粒の砂層です。黒いスジ模様は,砂が流されて堆積したときにつくられた堆積構造で,葉理(ラミナ)と呼びます。このスジ模様が途中で他のスジ模様に切られた様になっている構造を斜交葉理(クロスラミナ)と呼びます。ラミナは,砂が水流によって運ばれ,堆積した事を示します。斑点状に粗い砂粒が詰まっているところは,海底に穴を掘っていた生物の巣穴の跡です。巣穴や足跡など,生物の生活の痕跡を生痕化石と呼びます。

貝化石層より上の地層には,湿地に堆積したシルト(砂と粘土の中間の大きさ)の層が見られます。これらの事からこの露頭では,沖合のやや深い海底〜三角州の斜面〜三角州上面の浅海,と堆積環境が変化した事がわかります。
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