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阿武隈巡検[2007年8月18・19日] [千葉県地学教育研究会]

久しぶりの県外巡検,2年前から企画していた阿武隈巡検がようやく実現しました。福島県のいわき市から御斉所街道を西に進み,石川町までの巡検コースです。
福島県南部の阿武隈高原には,堆積岩が地下深くの高温・高圧の環境で別の岩石に作りかえられた,変成岩という岩石が見られます。この変成岩が見られる一帯を阿武隈変成帯と呼び,東側に分布する緑色の緑色片岩を主体とする御斉所変成岩と,西側の黒白の縞模様が特徴的な片麻岩からなる竹貫変成岩に分けられます。

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写真はいわき市根岸の露頭で,河原や河床に緑色をした御斉所変成岩が見られます。変成岩は薄く板のように割れる性質があり,この露頭でも板を立てたように露出しています。

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御斉所トンネルの北を流れる清道川の川底には変成作用を受けたチャートが見られましたが,現在は土砂に埋まってみることができません。このチャートからジュラ紀(2億〜1億5000万年前)の放散虫というプランクトンの化石が発見され,変成岩の源岩(元になった堆積岩)の年代がわかりました。また,緑色片岩やチャートは,語斉所変成岩の源岩が海洋底起源であることを示しています。

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埋まってしまったチャートと同じ岩石が,川沿いの林道脇に見られます。黒く見えますが,ハンマーで割ると黒とピンクの縞模様が見られます。

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竹貫変成岩は,泥や砂が変成作用を受けて作られました。古殿町叶神の竹貫変成岩の露頭は,砂防ダムによって埋められてしまいました。今回,時間の都合で竹貫変成岩の露頭を見ることができませんでした。

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叶神の砂防ダムの上流には小さい沢があり,変成岩の転石や3〜4cmのざくろ石(ガーネット)が拾えます。ざくろ石は竹貫変成岩によく含まれていて,ざくろ石の化学組成から変成作用の温度や圧力を知ることができます。

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1日目の最後は,石川町大山平に向かいました。畑の土中に,西日を受けてキラキラ光るものがあります。みんな夢中になって拾っていました。

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キラキラの正体は,2mm程の大きさの石英(水晶)の結晶です。高温型石英といって,きれいなものはそろばんのコマのような形をしています。この辺り一帯は,火砕流の堆積物に覆われいたものと考えられます。

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福島県石川町は,鉱物の産地として有名です。2日目は資料館で鉱物標本を見学したあと,保存会の方の案内で和久鉱山跡に向かいました。見学するには石川町立資料館で,事前の予約が必要です。

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坑道は狭く10mもないため,5〜6名ずつ入るのがやっとです。採掘跡には水がたまっていました。

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和久鉱山はペグマタイトと呼ばれる岩石の鉱床です。ペグマタイトは,マグマが冷却して火成岩ができる最終段階に作られる岩石で,非常に大きな鉱物結晶を含むのが特徴です。坑道の外のズリ跡では,鉱物採集ができます。学校の実習で来ることも多いそうです。

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上段左から,煙水晶(石英),水晶(石英),白雲母,黒雲母。下段左から,長石,ざくろ石(ガーネット),電気石。大きさはいずれも数cmで形も壊れているものがほとんどですが,自分で採集した標本はやはり格別です。

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ここは露天掘りの跡で,主に陶器用の長石を採掘していました。電気石やざくろ石が一面に見られます。

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頭上には,日本最大級と言われる電気石の結晶がありました。1.5〜2mくらいありそうです。

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外から見た和久鉱山は,小山のようです。石川町には,和久鉱山のようなペグマタイト鉱床があちこちにあり,巨大な長石や電気石の他にも珍しい鉱物が見つかっています。
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